カルチャーエッセイ

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GSW 世界女性頂上会議

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  • 2017.07.05 16:23

 

 

 

                                                                                                                                 

 李承信ので書くカルチャーエッセイ

 

                            

誰が女性は弱いと言ったのか

 

 

65カ国から1300名の女性が東京に集まった。政治、経済、文化、芸術の各分野の代表たちだ。

 

GSW, Global Summit of Women 世界女性頂上会議は、1990年フィリピン系アメリカ女性の Irene Natividad が創設し、カナダのモントリオールで開かれた第1回会議以降、毎年国をかえて行われ、今年28回目を迎える。韓国代表団の招請で参加することになった私は、まずその規模に驚いた。人数では中国が1位で95名もが立って中国の国旗をふった。韓国は60名で4位だった。

 

初日から安倍晋三首相と岸田外務大臣が参席し、それぞれ長いスピーチをした。夕刻には東京都の中心、赤坂に位置する迎賓館で日本外務省の招請による晩餐会があった。一万余坪以上あるかと思われる明治時代に西洋建築の影響を受けて建てられた華麗な迎賓館は、英国女王級の国賓が訪問したときのための宿所で、一年に十回もその門を開くことがないところだ。数百メートルの長い入り口にその日の夜のためにレッドカーペットが敷かれ、勇壮な近代建築を色とりどりに照らす華麗な照明は、その日ちょうど夜空に浮かんだ満月をも欺くものだった。

 

塀一つを隔てた隣に位置するのは、日本の皇太子のお住まいである東宮御所で、さらに塀一つを隔てて第二皇男子のお住まいがあり、東京に来るたびにその長い塀を通り過ぎながら気になっていた。

 

アベノミクスにより「失われた20っていつのこと」とでも言うように経済を再建した日本の安倍首相は自信感にあふれ、彼が新たに展開する安部のウーマノミクス Womanimicsで熱弁をふるった。

 

「いまや女性の時代だ。人口が減り、高齢化する日本で活用できる資源は女性だけだ。その女性の能力を活用するためには、私たちの意識を変え、さまざまな政策を改革してゆかなければならない。これからはアベノミクスではなくウーマノミクスだ」と力説した。「何年か前、アメリカのリーマンブラザーズの失敗でグローバル経済危機が押し寄せたが、それがリーマンシスターズだったら、そうはならなかったはずだ」と多分に阿諛追従的な冗談も言った。

 

その一方で、日本の女性の役割と活用について、かなり具体的な図表を映像で見せた。儒教文化圏である日本における長きにわたる女性の地位と位置を勘案するとき、女性たちを前にしてのリップサービス的な提案だとしても、その積極性に日本の今後の女性時代を想像してみたくなる。彼の公認を得られずに東京都知事選挙に出馬して当選した小池百合子氏、今、安倍首相よりもはるかに人気が高い、その女性のライバルを念頭においてのことかもしれない。

 

ちょうど前列に座った私は、スピーチを終えて降りてくる彼と挨拶を交わし、手にしていた私の日本語の短歌集を手渡した。日本の天皇にはたくさんの贈り物が届けられるが、本だけは受け取らないという。読書を愛し、短歌をつくる天皇は自身が読みたい本を自ら選んで買って読む。ところが、この本はその天皇の手にも渡っていると申し添えた。

 

彼が念頭におき、気にかけている小池東京知事は、翌日 GSW今年の女性指導者賞受賞し、英語で演説をした。日本の大学を出てエジプトに留学し、テレビのアンカー出身の彼女は日本人にしては英語の発音がよかった。男性主流の日本政治史の中で、今現在その人気により新党を組織し、2020年の東京オリンピックのために全力を尽くしており、その努力を認められている。

 

普通日本第2の都市は大阪といわれている。しかし、それは横浜で、その市長も女性の林文子氏で、「日本女性は結婚適齢期が過ぎると人気が下り坂なのに、70を越えた今でも私はたくさんの男性の人気を一身にあびている」と言った。

 

34日間、日本と世界のVIPたちの演説や、朝から夕方6時まで世界各国の有名人士たちの講演と、各分野ごとにパネリストが決められたディスカッションが続いた。臨場感あふれる講演と各分野の成功したパネリストによるディスカッションは有益で興味深かった。全てのセッションを漏らさず聞いた私は、そのせいで初日の夜の迎賓館でのディナー以外には一歩も外に出なかった。

 

よく女性は弱いと言われる。選挙権も参政権もなかった時代に比べれば、先駆けた女性たちの活発な女性運動により、ずっとましになったことは事実だ。しかし、世界でもましな状況にあるはずのアメリカ代表のアメリカ企業における男女年俸の格段の差、出産と育児による経歴断絶という現実を聞くと、世界の女性たちの行くべき道はまだまだ遠いと思わざるをえなかった。

 

今回の東京 GSWのさまざまなプログラムのうち、最も印象的だったのは韓国のソンジュグループのキム・ソンジュ会長の活躍だった。三日間の夜の晩餐ではジャズをあしらった最も華麗なガーラディナーを施し、ファッションショーも催した。ちょうど母の日のころだったこともあってMCMの美しいピンクの財布がHappy Mother's Dayプレゼントとして1300名の会員に配られた。会議場の外で販売されている MCM ハンドバッグの売上は全額 GSWに寄付された。

 

世界の女性が一心となって不平等の壁を越え、平等の世界へ進もうというメッセージと、セッションでは儒教思想の男性が支配する事業雰囲気の中での苦難を克服し、自力で世界的な企業になるまでの経験談を聞かせ、たくさんの女性たちを励ました。練り上げられたアプローチが世界女性頂上会議を圧倒したことはもちろん、国のブランドも存分に引き上げた。

 

平壤出身の人品卑しからぬ父を持った私は、家では娘、息子の区別なく育ったせいか、特に女性運動に一肌脱いで献身してくることはなかった。しかし、考えてみれば幼いころこそそうだったとしても、父亡き後の遺産分配や社会活動における差別と不利益は確かに存在した。韓国社会を振り返っても理論的にのみ男女平等で、女性の能力と寄与に正当な待遇がともなったことがないことに対する不満と挫折がところどころにある。

 

そういう面からも、女性に対する考えも井戸の中を出て、世界の女性が集まり頭をつき合わせて議論して学び、知恵と経験を分け合う、こうした健全な世界的な集会があることはありがたいことだ。

 

韓国も日本のように人口が増えず、だんだん高齢化社会に向かっている。安倍晋三首相が熱を上げる女性の活躍のための政策の改革にも耳を傾けて研究しなければならないが、それは多分に経済本位の発想だ。それに先立ち、基本的に男性が女性の社会的役割と寄与を認め、尊重する意識改革が全体的になされなければならないときがきた。

 

世界と競争して先進国になろうとすれば、女性長官を何人か据えて済ますのではなく、これまでの社会慣習と制度から踏み出し、女性に向かう社会全般の意識自体が変らなければならないということを今更ながら感じさせられた世界女性頂上会議だった。

 

 

 

 

 

                             GSW 開幕式の Irene N 会長  - 東京プリンスホテル 2017  5 11

                       外国からの国賓のみを迎える日本の迎賓館の晩餐  -  東京   2017  5  11

                              安倍晋三首相のウーマノミクススピーチ 東京  2017  5 11

                     を受ける安倍首相の人気をはるかに上回る小池百合子 東京都知事(左)


 

 

                              ソンジュグループ会長のスピーチ  -  東京 GSW  2017  5 12

                                             GSW ガーラディナー  -  東京プリンスホテル

                                      

                                                ガーラディナーでの韓服 –  東京  2017  5  12

 

 


 


 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










 








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