カルチャーエッセイ

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宝厳院

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  • 2016.12.31 12:26

 

 

 

                                                          2016  12  25

 

   宝厳院 

 

ロッテ観光の企画である李承信詩人と旅立つ京都感性文学紀行で三日間京都へ行って来た。

ちょうど千年の古都京都の紅葉の絶頂期だが、韓国の海外旅行としては最も閑散期にあたるので十名が集まった。けれど移動にはちょうどよい人数だった。

 

私の役目は京都と文学という講演だけだったが、組まれたスケジュールを見ると、少し不備な点のあるスケジュールだった。

 

観光にも格がある。詩人と同行する旅行を選ぶような方たちであれば、旅行が初めてのはずはなく、見識と水準があるはずだ。

 

京都の寺院にはどこも世界から観光客が押し寄せるが、一年で最も観光客が多いシーズンはやはり晩秋の紅葉の頃だ。京都の人口は110万人を少し超える程度だが、日本人も含めて一年に5600万人が訪れる。特に最近は中国人がうわさを聞いて来るので、ホテルの確保もままならない状態だ。

 

季節によって行くべきところを多少知っている私は、既存の日程を捨て、時間的にちょっと無理があるが、12ヵ所を選んだ。祇園の白川、青蓮院、高台寺、圓徳院、三年坂、清水寺、詩仙堂、圓光寺、北野天満宮、嵐山の竹林、野宮, 宝厳院、京都に宿がなく、そこから一時間ほどの距離の、日本で最も大きな湖で観光客もたくさん訪れる琵琶湖畔に宿をとることになったが、琵琶湖まで見ることができる上、温泉旅館でもあったので好都合だ。

 

既に何度か京都に来たことがある方も、行く先々でここは初めてだと言い、20余年のガイド経験もある方も、全部初めて見聞きするところだと言った。幸い、昔私自身が初めて見て驚き感激したよきのように、一行も生涯忘れられないといって感激してくれた。

 

京都は再び訪れたくさせる妙な魅力がある。

 

千年を超えて首都であった京都を巡るのに三日はあまりにも短いが、ちょど紅葉の季節なので紅葉の美しさを基準に選んだ。皆われを忘れて魅入っていた。全て見終わった後に、どこが一番気に入ったかと尋ねると、たくさんの方が青蓮院を1位に選んだ。その品位と美しさから当然ともいえるが、その神秘性と恍惚感では嵐山の宝厳院だろう。

 

嵐山は京都市内から約30分ほどの距離にあり、桂川の流れる美しい場所だ。古の貴族たちの別荘があり、超一流ホテルと食事処、にぎやかな土産物屋が並んでいる。また、有名な天竜寺という大きな寺があるが、宝厳院はそのすぐ横に宝物のように隠された庭園で、一年に一度、この紅葉の季節にのみ公開される。

 

同志社大学に通っていたころは時間もなかったが、バスと電車を三回も乗り換えなければならないので来れなかったが、昨年12月、嵐山を眺めながら散歩をしていると、長い列があるので、ずいぶん待ってから後に続いて入ってみると、こんな秘境がまたとあるだろうかと思わされるほど恍惚とした景観だ。

 

数多くの楓の木は全て品位があり、木立の合間を細い流れがはしり厚いベルベットのような黄緑色の苔が目に眩しい。どこからどう眺めても美であり驚愕そのものだ。小さな流れにかけられた1メートルほどの橋を渡ると、宝厳院の象徴である苔むした獅子岩がある。他の大きな庭園に比べればこじんまりとした庭園だが、レースのように地面にふりかかる紅葉が風に舞い、足の向かう先々でその愛らしさに目を奪われる。

 

初めて訪れた昨年には、夜のライトアップまで続けて三度も行き、夢の中にいるような情景に身を任せもした。一行の反応が小さいので「私が千年もかけて植え育てこうなるように努力してきたんですが、いかが」と戯れると、「もう一回度見てはいけませんか」という。その一言で感激していることが分った。

 

あきれるほど美しい五色の紅葉は散り落ちるだろうが、目と胸に刻まれたその情景は長く忘れることはできないだろう。

 

私たちの観光水準もいまや食べて寝て表面的に見てまわるだけの水準を止揚し、歴史と文化の息吹を感じる水準にまで引き上げるべきときだ。

 

短な時間ではあったが、歴史の深い京都の地肌を窺えたのは幸運だった。

 

           

             嵐山

 

             宝厳院の太古の秋の光景 その悟りを胸に刻む

 

 

 

           初恋のように

 

 

 


                                                   宝厳院の入り口   -   嵐山   2016  12  4

 


 







 

                  樹齢五百年の楓の木から散り落ちた紅い葉と苔むした獅子岩  –  嵐山 宝厳院 2016  12  4

 

 

 

 

 

 





 

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