カルチャーエッセイ

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皇族の詩文学

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  • 2019.11.14 13:01

 

 

                                                                                                                            2019  11  10

 

   

皇族の詩文学

  

 

NHK と CNNをよく見る。
 
最近の日本は、春に新天皇時代の年号をめぐっての大騒ぎ、引き続く即位式の行事、間近となった二度目の東京オリンピックとその出場選手の紹介、万博にも再び大阪が選ばれる等、何かと気分が上向くニュース一色だ。
 
即位式に参席した令和考案者と目される中西進氏はインタビューで「 非常に謹厳な趣で、陛下はきりっと口をお結びになって、決意のほどがしのばれました。皇后様は非常に慎み深く、奥行きの深い感じにさせられました」「(陛下のお話がある時は)カーッと日が照ってきまして、素晴らしい日本の未来を思わせるようにとてもいい雰囲気になりました」と語った。
 
そうした雰囲気で新天皇の歩んできた道を扱ったドキュメンタリーをみた。水を研究する新天皇が皇太子のころUNで‘水と災難’をテーマに演説していた。皇族がUNでスピーチするのは初めてとのことだが、原稿を読み、イギリスにも留学した天皇の英語の発音は普通の日本人のそれだった。
 
私の目を引いたのは、新皇后となった雅子様だった。
外交官の父について海外で暮らし、ハーバードを卒業した。新人外交官時代の初々しい姿は魅力的だ。自由にキャリアを積み重ねることを望み、皇太子からの求愛を7年間拒み続けたが、皇太子の「皇族水準の外交ができるではないですか」という言葉で1993年に結ばれた。しかし、男子に恵まれないこともあって何年か鬱病に悩まされた。美智子上皇后も香淳皇后に40年間悩まされたというが、皇室とはそうしたものなのだろうか、その中の人生は決して容易なものではないらしい。
 
そのドキュメンタリーには、待ちに待ったわが子を産んだ後につくった、雅子様の短歌が出てくる。皇太子妃だった平成12年, 2002年の歌会始で詠んだ歌だ。
 

 

生(あ)れいでしみどり児いのちかがやきて 君と迎ふる春すがすがし

 

 

短歌は滅亡して日本に渡った百済の王族と貴族たちがもたらしたものといわれる。上皇陛下が桓武天皇の母は百済王族であると明かしたことがあるが、噂では日本の皇族たちが使う韓国語もあるという。百済からもたらされた短歌をつくることは天皇と皇族にとって重要な伝統だ。中西先生はかつてソウルでのインタビューで「天皇とは一言で短歌をつくる人」であるといったこともある。
 
毎年一月には宮中歌会始めの儀という、過去1年間に天皇皇后両陛下をはじめ、皇太子、皇太子妃や皇族がつくった短歌が披講される行事が催されるが、1998年この歌会始めに母が短歌の大家として陪聴人資格で招請され、私も同行して宮中に入ったことがある。一般国民までを含む詠進者に指定されたその年のお題は‘道’だった。

 

いつだっかた銀座で、上皇上皇后両陛下のご成婚50周年記念短歌集を買い求めたことがある。期待以上に素晴らしい短歌だと思った。特に上皇后である美智子様の散文は優れており、教科書にも載っている。雅子様も皇族となってから作歌をしているが、美智子様の水準まではいかないようだ。

 

天皇皇后両陛下と内親王殿下である愛子様が好んで訪れる御用邸が栃木県の那須にある。上皇陛下のころからよく訪れており、両陛下と愛子様はその山に登ることが好きで、頂上に登った姿がドキュメンタリーにも見える。
 
天皇は直系の男系によって引き継がれるが、70何パーセントかの国民は女性天皇の即位に賛成しているという。幼い甥が引き継ぐことになっているが、学習院を卒業し東大に通う愛子様もお気に入りのようだ。
 
今日は両陛下のカーパレードである祝賀御列の儀が、皇居から赤坂御所まで30分間行われた。その前日には、感謝のお言葉を述べられる天皇陛下が傍らで涙を流される雅子様の涙をぬぐう場面があった。列島の国民は爆発的な歓呼をおくっている。引き続く新天皇即位関連行事に日本国民の心が一つになっている。
 
新天皇皇后はまだ50代だ。

両陛下を見ながら、韓国への好感を持っていたにもかかわらず訪韓を果たせなかった上皇陛下の夢が遠からず果たされ、近くて遠い玄海灘を越え、両民族の心が近づくきっかけとなるように、そして両国の葛藤が消え去るようにと願ってやまない。

 

              

那須の野を親子三人で歩みつつ 吾子に教ふる秋の花の名

 

                            나스의 들을 셋이 걸으며 내 아이에게 가르치는 가을 꽃 이름

 

     As we, parents and child wander through the field of Nasu

      I teach my child the name of the autumn flowers

 

  平成29年, 2017年 歌会始の儀式における雅子様の短歌

 

 

 

 

 

   カーパレード中の天皇皇后両陛下  - 東京  2019 11 10

  

  

 

すべての手にはスマホ、30年前のパレードとは異なる風景

 

  

     

  



 

 

 

 

 



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