カルチャーエッセイ

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花見

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  • 2015.07.13 09:35

 

 

 

                                                                                                                                2015   5  20

 

 

                                                       花見

 

桜といえば、私たち韓国人は妙な気分になる。

35年間の傷が、その痛みとわだかまりとが解決されていないからだろうか。フランス、イギリス、アメリカといった西洋人たちが魅せられて見つめるのとは違う。

 

過去十余年に渡り京都の桜の話を何度か書いた。韓国よりも20日余り先に咲く桜をみて、その美しさと花を咲かせる労とに驚き、十月十日を身ごもり激しい陣痛とともに新しい命が生まれるように、一年の陣痛に耐え、わずか何日間だけのために咲くその花を見てあげなければと思い、春ごとに飛行機で一時間の距離を越え、そののたくる命を静かに眺めてきた。

 

しかし、今度は日本への往来45年目にして初めて長期の滞在でもあり、お世話になっている同志社大ではハードスケジュールのためキャンパスの桜しかみれなかったので、散ってしまうことが残念で、がまんしきれずに見物にいった。

 

御所の中の品のある松の木のそばに優雅な女王のごとく咲く、天の遣わした何本かの桜、その節制と言葉にできない美しさをもつ高台寺庭園にたった一本咲く桜、向い寧々の道に咲く桜の群れ、清水寺へと登る石段の上に一本だけそびえ立つ巨大な傘のように丸く咲く桜がおりなす花の宇宙、夜空の星よりももっとたくさんの平安神宮の桜の天地、数十メートルの幅にわたり地面すれすれまで垂れ下がる濃紅色妙心寺 枝垂桜、川堀の両側2キロにわたり長く続く優に2300年は経つ哲学の道のソメイヨシノ、 快速で25分の距離にある30メートルの高さで自在に踊る嵐山の枝垂桜の森、京都の数多い春の花を何年間か訪ね歩いた経験から選んだ20何ヶ所のうち、この春見た何ヶ所かの桜だ。

 

私がワシントンで日本から寄贈された4000本の桜をみてそうだったように、たくさんの観光客たちが目に飛び込んでくるその華麗な光と眩しい美しさに驚嘆する。もし、世界に桜のオリンピックがあれば、京都の桜が当然断トツで金メダルであるに違いない。

 

しかし、人生を少し生きてきたこの目には、わずか何日間かを咲くだけのために長い冬の間、水を汲みあげ汲みあげしながら、幹がすり切れ、裂けてしまう苦痛に耐えて咲くその桜は異なって見える。 

 

さらに時間が過ぎて、落ち着いて眺める今、16世紀に韓国を侵略した豊臣秀吉の死を弔うために夫人である寧々が建てたという高台寺の一本の桜、京都が千年の都だったころ天皇の住居だった御所の抱えきれないほど太く大きな桜の群れ、それらが言葉もなく眺め、そのひとつひとつを体に刻んでいる歴史が胸に聞こえてくる。

 

白、ピンク、黄緑、黄色、紫、真紅の花の色とその姿にだけ見とれていたことを恥ずかしく思い、その傷だらけの太い幹に耳を寄せた。毎年増えるその魂の年輪を思い描き、私の内なる年輪を数えてみる。

 

気づいただけ見えるようになる。

花を咲かせることも見つめることも、人生を生きることと大きく異なることはない。

 

 

                    

                    歴史の傷

                 その涙を星の花として咲かすのか

                 桜の

 

                 その花見

 

                 手招きして私が眺める

                 人見物

 

 

 

 

 


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