京都 北野天満宮 紅梅 2016 1 5
花の便り
官職にあった父のおかげで、幼いころから私にとっての正月は陽暦だった。アメリカ生活でももちろん正月は陽暦だった。それが帰国してみると、いつの間にか韓国の正月は陰暦に変わっていた。
同じ東洋人でもここ日本の正月は陽暦だ。お盆という韓国の秋夕のような先祖供養の行事もここでは陽暦の8月15日だ。
お正月の日本の挨拶言葉は「明けましておめでとうございます」が最も一般的だ。他に「初春のお慶びを申し上げます」ともいう。一月は冬とはいえすでに初春の気配が感じられるので、新春の気をお受け取りくださいという希望の挨拶だ。
ここ京都の12月、1月は夕方には冷え込むが、昼は12度程度で、日が差せば暖かい。
昨年12月の初め、近くにある北野天満宮に行ったとき、葉の一つもない梅の木がたくさんあったのが目についた。以前テレビで毎年2月25日に行われる梅花祭を見たことがあったので、そこにいた職員に梅花祭はどこでやりますかと聞くと、まさにここでとのこと。嬉しかった。二月末にはついに梅の花を見ることができる。
世界的な仏教都市である京都は、クリスマスイブの12月24日だというのに授業があった。この日、古典文学の教授が明日25日にクリスマスとは何の関係もないが、北野天満宮に行けば、入り口に大きな市が立つので行ってみなさいといった。期待はしなかったが、勧められたので行ってみた。市には日本特有の食べものがあった。
そこを通り過ぎて庭園の中に入ると、驚くべき光景が広がる。これはなんとしたことか。
肉をえぐるような長い冬を経て、早春ともなればその花を咲かすはずの梅の花が大きく咲いているではないか。数十本の古木に紅く白くその花を咲かせていた。毎年2月25日にここで梅花祭が行われ、日本全国に生中継されるが、ちょうど二ヶ月前の12月25日に、もうその花を咲かせているのだ。
地球温暖化のためだんだんと早く咲くようになっているという。もっともどこかで桜が咲いているのも見かけた。何年か後の2020年には韓国も12月が秋になるという。
1月になると私の通う同志社大学のチャペルの前の4本の梅の木もかわいらしい花を咲かせた。同志社の象徴は梅の花だ。創立者の新島襄が愛した梅の花は、彼の二首の詩によって広く知られている。
真理は寒梅の似し敢えて風雪を侵して開く
新島襄
1月20日、京都には朝から何時間か牡丹雪が降った。雪の中登校するとキャンパスが銀世界となっていて美しく、紅梅の上に薄くつもった雪が幻想的だった。期末試験を受ける前に一枚だけ撮って、後でしっかり撮りなおそうと思ったが、90分の試験に全力を尽くして外に出ると、その間に日が差して雪が溶けてしまっていた。急ぎながらもケイタイで一枚だけでも写真を撮っておいてよかった。この写真がなかったら、どこの誰が1月に梅の花が咲き、その上雪までつもったことを信じてくれるだろうか。
1年に1度降るかどうかという京都の雪は、翌日の朝刊新聞の一面を飾った。
韓国では瑞雪はよいことの兆しだ。 牡丹雪のつもった紅梅と早くも咲いた周囲の可愛らしい花々を初春の花便りとして、諸事順風満帆な新年、2016年となることを願いつつ、懐かしい友へ伝えたい。
酷寒の忍苦を経てこそ咲く花 今深いその意味を望み見る
李承信
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