
李承信の詩で書くカルチャーエッセイ 2025 一年をふり返って 多事多難、この言葉を一年の終わりに深く実感している。 世界はだんだん狭くなり、国内ニュースが世界に伝わるのも、国外ニュースが入ってくるのも稲妻が走るようにはやくなった。 ウクライナの戦争は終わりが見えず、イスラエルの情勢から南美, 台湾をめぐる 日中関係だけでなく、日常で見聞きするものが私たちを悲しませた。 個人的にもさまざまなことがあった。 なかでも、私たち兄弟姉妹が生まれ育ち、母が生涯詩を書き続けてきた家を修理・維持することは 私の手に余ることだ。 それでも2025年の大晦日に感謝すべきこと、よかったことを思い出してみたい。 2025年の春、京都同志社大学の大先輩、尹東柱詩人に名誉博士学位が授与された。 故人は絶対その対象とならないという慣例を破ってのことだけに喜びもひとしおであり、 記念行事のハイライトである學長の講演で、尹東柱の詩を朗読したことはもちろん、 12年前日本のマスコミで話題となった私の詩集からも詩を二首朗読したことにも感激した
10月には東京の立教大学に尹東柱の詩碑がたてられた。あいにくの雨と詩碑の前の道がとても 狭いこととで、参加者は極めて少数だったが、同志社大にある尹東柱詩人の詩碑を掃除していた 私が後輩詩人として招待されとても嬉しかった。
11月には、お世話になった同志社大学の創立150周年記念で三日間にもわたる行事があり、 これに参加できたことに感謝した。 直近では孫戸妍平和文学賞の授与式を執り行った。 毎年11月に行ってきたが、受賞者のひとりチャ・インピョ氏(俳優・作家)がトルコとギリシアへの 講演スケジュールがあって12月となった。 韓国で生涯短歌をつくり続けた母は、ビザをとるのも難しかった時代に「日本列島のの琴線にふれた」とメディアに取り上げられもしましたが、‘日本の知性’であった中西進先生が認めてくださったことが大きな支えとなった。その先生が私たち親子に孫戸妍賞をつくりなさいとおっしゃってくだ さったのは30年も前のことだが、母の没後2023年、中西先生にその最初の受賞者となっていただく ことができ、今年はチャ・インピョ作家とムン・テジュン詩人が受賞した。 チャ・インピョの受賞作である『いつか私たちが同じ星を眺めたら』を読むと、作者は孫戸妍詩人の平和と和解のテーマをずっと昔から知っていたようであり、もうひとりの受賞者ムン・テジュンは 既に数々の賞に輝く実力派詩人として、日刊紙でも文章を書いているが、最近出た散文集『花が明るいのだから悲しいことは忘れましょう』を読むと、温順温和な人としての品格が孫戸妍を彷彿とさせ、5名の審査委員満場一致での受賞となった。 司会のユ・ジャヒョ詩人は詩人協会の会長で毎年恒例の‘母女詩人の家’での行事で最もたくさんの 司会をしてくださった頼りになる方だ。 祝辞をいただいたホ・ヨンジャ詩人は、孫戸妍詩人と会ったことはないが、縁はあった。 20 年前の母の突然の逝去を惜しんだ中西先生が日本政府に掛け合い、孫戸妍詩人を称える意味 で東京から文化部長官が駆けつけて参加して挨拶をし、日韓両国の代表詩人を二人ずつ招き互い の詩を朗読し討論する行事を京都で三日間も行った。 そこでは中西先生とチェ・スンボム詩人を両国の代表とし、イ・クンベ、ホ・ヨンジャの二名が時調詩人として日本の短歌詩人と互いに討論した。韓国チームは対談に積極的でそつなくこなしていたことに胸がいっぱいになった。三日間の行事を締めくくる挨拶を私がすると、ホ・ヨンジャ詩人が優雅に歩み寄ってきて感動したと言ってくれたことを思い出す。 ペク・ジェソプ教授は、日本統治時代の1923年生まれは韓国で教育を受けながらハングルにまったく接することのできない世代だったと語った。私すらそのような事実を少し前に知ったのだが、文学 少女といえど国内にハングルで読める本もなかった時代だったと言う。同年生まれの有名なドラマ 作家ハン・ウンサ氏が常日頃口にしていたことでもある。 文字と言葉は民族精神の核心なのに、償いのないその時代を思うとき、不憫きわまりなく 涙ぐましいばかりだ。 イ・スンウォン教授と、ユ・ソンホ教授が評した後、2名受賞者に孫戸妍平和文学賞が授与された。 孫戸妍の愛と平和の精神を大切に受け継ぎますと語った両名のスピーチが印象的だった。 スピーチには感動したという孫戸妍の詩もいくつか引用されていた。 野茨の尖りし棘に降る雪は刺されまいとてそつと積れり ‘母女詩人の家’で公演したことのある世界的に有名なバイオリニストのペク・ジュヨン教授が、お祝いに三曲の演奏を披露してくれ、新しく作った孫戸妍詩集『東亜細亜の涯の国に生ひたちし吾ひたすらに平和を祈る』とチャ・インピョ作家の受賞作品が参加者たちに配られた。 参加者の方々は、みな有名な作家や人文系名士たたと出会い、サインをもらうなど意義深い 時間となった。 見かけほど容易なものではなかったが、一年を有意義かつ美しく締めくくることができたことに 感謝の思いでいっぱいだ。
ホ・ヨンジャ詩人 
当日のMC ユ・ジャヒョ詩人 
イ・スンウォン教授
ユ・ソンホ教授 

ペク・ジュヨン教授 Viloinst
二名の受賞者と来賓たち
孫戸妍の最新詩集と、ムン・テジュン、チャ・インピョ受賞者の受賞作
https://youtube.com/shorts/gu8BWheGHSM?si=8YgnDUiaO5TrAXSk
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