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時事ジャーナル - 愛と平和

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  • 2014.04.21 19:02

李承信ので書くカルチャーエッセイ

 

 

  

                親子詩人の家                                                                                                    2014    3   31

  

                 時事ジャーナル 

 

 心の広い詩で散りばめる‘愛と平和’

歌人であった母を継いで人類愛を伝える詩人李承信

 

ソウル鐘路区弼雲洞90番地。

 

外観からしてただならぬこの建物の前に孫戸妍・李承信親子詩人の家The SOHOという立て札がある。内部も尋常ではない。

 

時の移り変わりを余すところなく抱きとめた作品と小物たちが、優しく仲睦まじく互いを気遣いながら並んでいる。古い箪笥と椅子の間に配された流れるような筆遣いの詩句は、日本の伝統詩歌である短歌で有名な孫戸妍歌人の残した心の軌跡だ。

 

ギャラリーThe SOHO多様な文化が美しく共生する芸術の宝庫そのものだ。壁にはピカソとシャガールの作品がかけられ、クラシック音楽が流れ、甘美で美しい詩が詠まれる複合文化空間だ。

 

展示会、音楽会、詩の朗読会、トークショーと講演等の文化行事に満ち、<コーヒープリンス>のようなドラマの撮影地としても有名だ。この空間を作り、企画したのは孫戸妍歌人の娘である詩人の李承信氏だ。世界的にも稀な親子詩人の暖かな心のこもったこの空間で、孫戸妍歌人の短歌は娘のこの上のない母への愛によって、今なお人々の胸の中で鳴り響いている。

 

孫戸妍歌人の名声は韓国よりも日本での方が高い。1998年、天皇の主催する新年歌会初めの儀に外国人として初めて短歌の大家として招請されるほどだった。

 

63年間に2000首を超える短歌を遺した孫戸妍歌人の短歌を貫く大きな幹は、祖国に対する愛と、東アジアひいては世界の平和と人間に対する熱い思いだ。去る2005年の故武鉉大統領と小泉首相との日韓首脳会談、そして外信貴社会見にて、小泉首相首相が孫戸妍歌人の遺した切実な望みが一つ吾れにあり諍いのなき国と国なれという短歌一首を演説に引用し、日韓友好の重要性を強調したことはよく知られたエピソードだ。

 

このエピソードは、小泉首相が孫戸妍歌人の全歌集と歌人の人生のドキュメンタリーを見て感動したことによる。韓国で生涯愛と平和の精神を短歌で知らせてきた孫戸妍歌人の誠実な努力は、日韓両国政府からそれぞれ文化勲章を受けて認められた。

 

政府次元だけでなく、民間においても歌人としての業績がいまなお称えられている。日本の青森県に建てられた歌人の歌碑がそれを象徴的に示している。

 

日本の統治下に生まれ、進明女高を卒業し、最後の皇太子妃である李方子女史により日本の東京帝国女子大学に留学した孫戸妍は、詩聖と呼ばれた佐々木信綱に師事して短歌にいそしんだ。1400年前に韓国から伝えられた短歌詩だが、韓国にはそれがなくなってしまったため、日本の大家について学んだのだ。その後、<戸妍歌集>5冊続く歌集<無窮花>シリーズ等を著し、短歌名人として認められるようになる。

 

孫戸妍の短歌には、日本の統治下にあった母国に対する愛と、皆がともに戦争も争いもなく平和に生きられることを願う切実な心が込められている。国境と言葉の壁を乗り越えて吾が咲かせみる無窮花の花を この短歌はそのような心の切実さを余すところなく伝えている。

 

孫戸妍記念事業会つくり、母の詩心を世界に広く知らせ、その精神を保存しようとする娘で詩人の李承信氏母伝女伝典型を示す人物だ。母がそうであったように、文化や外交で人類愛を育て伝え、広い世界と交流している。アメリカではテレビアンカーとしても活躍した彼女は、詩人、コラムニスト、翻訳家、さらには美術・音楽・演劇等多様な領域で活躍を繰り広げる、文化芸術のオールラウンドプレイヤーだ。

 

長く住み慣れ、親子で詩を書いてきた築300余年の古い家は、開発により道路をひくために切りとられ、孫戸妍文学館とャラリーTHE SOHOとなり、多様な芸術ジャンルの融合を通して各分野の文化人たちの眼識を引きあげることに早くから寄与してきた。最近政府が主張する文化隆盛を先駆けて行動に移してきたわけだ。

 

作家としての李氏の活動は国内にとどまらない。

 

2011年、東日本大震災の当時、200余首の短詩をつくり、傷ついた日本人の心を慰労した。地震と津波に襲われた地域の惨酷な光景を見た瞬間にあふれ出た短詩が、日本の朝日、産経新聞に出て、熱烈な反応の呼び起こした。それをきっかけとして日本からの招請を受け、被害地域での講演と詩の朗読会を開いて交流し、勇気を与え続けている。

 

当事、李氏とともにその短詩を読んだ森喜朗元首相は、この短詩を教科書に載せ、たくさんの人々に読ませなければならないと言い、両国のたくさんの人々が演説や卒業の祝辞等で李氏の短詩を引用しもした。

 

昨年に続き、311大震災三周忌を迎えた今年三月にも、最大の被災地である宮城県気仙沼市で李氏のスピーチと詩の朗読会を行った。現地の人々は感動し韓国の真心に感謝した。さまざまな面で捻じ曲がった日韓関係の中、大惨事に見舞われた日本人たちに人類愛を伝えたのだ。「私と私たちの後孫たちのため私にできる最大の贈り物だと思う」

 

寸鉄の一行詩を通した文学外交の先兵としての役割りを果たしている李氏は、「今こそ隣人を包み込む孫戸妍の平和精神が私たちにとって切実なとき」と語る。暖かな人類愛で愛と平和のメッセージを伝え続ける詩人の李承信氏は、その尊く格調高い母の足跡を実際に辿っている。                                     

 

                                                                  文:キム・ジェテ、写真:パク・ウンスク

 

 

 

 

 

 





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