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悲哀美

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  • 2019.11.13 21:14
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                                                                                                                                   2013  7  20

 

 

悲 哀 美
  

友人たちと德壽宮の石垣道のすぐそばで昼食の約束をしたときから、昼食後には一緒に德壽宮内の展示を見ようと決めていた。皆誘いに応じてくれたが、おしゃべりに高じて4時も近くなると皆席を立ってしまい、一人石垣道にそって歩き、大きなデモを阻止する大人数の機動隊員たちをかきわけて、どうにか德壽宮に入ることができた。

 

ほんとうに久しぶりだ。いころから祖母、德壽宮ろの光化門側にある德壽国民学校った。若き日の母が来ると大喜びで牡丹の花が大きく咲いた德壽宮で一緒に写真を撮った記憶は、常に昨日のことのように新しい。

 

高宗の居所であり李王家美術館として、そして1973年からは国立現代美術館となったが、文化公報部の報道局長を長くつとめた外叔父であるソン・ソクジュがその美術館長だったので、たくさんの思い出のある場所だ。

 

ここを訪れたのは、日本人収集家として有名な柳宗悦(1889-1961)の収集品展示を見るためだ。柳に関する論文で学位をとった方の話を聞き、芸術を通して朝鮮を愛し、その日常の品物を収集した柳とその文章を見た。

 

収集以外に何をしたのかと気になっていたが、それは収集を単なる趣味としかみなかった者の無知、洋の東西にかけた膨大な収集とその研究、理論展開、保存管理、著述と広報等、それ自体が優れた創作行為であり、創作する収集であることを今回感じることができた。

 

1914年、朝鮮にいた日本の友人である浅川伯教から朝鮮の陶器ひとつをもらい、瞬間的にその魅力に心を奪われ、それを作り出した朝鮮人に対する限りない敬愛の心を抱き、いくつかの国から収集した2万点に及ぶ品物の内、朝鮮の品物は2千点にもなるという。

 

高級白磁や高価な家具ではない庶民の使う陶器と日常用品、誰もそんなものを見向きもしなかった時代に、美を見る彼の進んだ見識と審美眼には驚かざるをえない。

 

民芸という概念くないときにその理論、自身んでいる地域使用されている日常的なものの価値して、明日創造を導く試みをした。陶器はもちろん、笠、履物、チマチョゴリ、山、稜線にまで、朝鮮の線に感嘆した彼は朝鮮の美に染み込んだ悲しみを感じ、それを悲哀美とした

 

著述を通して『朝鮮の友に贈る書』、『朝鮮とその芸術』、『失われんとする一朝鮮建築のために』、『朝鮮民族武術感の設立のために』等を書き、朝鮮民族の優れた文化が失われることを憂慮し、朝鮮の人々にかわって美術館建立を決心した。そうすることが朝鮮の芸術から受けた恩と義理に報いることであると考えた。

 

朝鮮民族美術館を景福宮に建立し、日本の総督府から民族の二文字を消せという命令がありながらも、最後まで妥協しなかった。それは美術館建立目的が単なる朝鮮の工芸品収集と展示にあるのではなく、その文に書かれているように「私は朝鮮民族美術館が失われ行こうとする民族芸術の失われえぬ持続と新たな復活の直接的な原動力となることを渇望する」ことにあるためだ。

 

彼は朝鮮の民族文化保存を主張して、景福宮の光化門を取り壊そうとした総督府の計画も무마시켰는데、今の光化門はその後の朝鮮動乱にて火が出て、最近になって新たに立て直されたものである。

 

昔、ロンドンの真ん中に高く聳え立つウェリントン(Arthur W Wellington)提督の銅像を見た。イギリス人の友人が、彼は世界2位の海軍提督であり、1位は李瞬臣だと説明するのに驚いたことがある。さらに、私たちは今も李瞬臣将軍が世界最高の提督として知られていることを知らないが、ヨーロッパにコリアが知られてもいなかった30年前に、そのように知られていたのは、日本が不敗の将軍李瞬臣将軍を研究して世界に知らしめたためだという。

 

日本人は戦うたびに敗戦の苦杯をなめさせられた他国の将軍でも、その偉大さを世界に知らせているのだ。私たちも日本の優れた人々に対する研究と学びがもっとあればいいのにと思う。

 

私にしてからが、柳宗悦の70余年の短い生涯に成されたその業績に大きな知的刺激を受け、どこからそのような世の中の美を見つめる卓越した見識を得たのか、収集にとどまらず研究、著述そして神秘な悲哀美を世界に発信してきた彼をもっとよく知り、研究してみたいと思う。

 

真の美を生んだ神であると思う

 

 

 

1898年、イギリス人のハーディンが設計、1909年に建立、高宗皇帝の居所であった西洋式近代建築物で、現在原型を復元中

柳宗悦(1889-1961)の朝鮮民芸収集品を展示中の德壽宮博物館 

白磁のような高価なものではなく、誰もそんなものを見向きもしなかった時代に始めて収集された朝鮮庶民の陶磁器たち 

朝鮮の手で書かれた文様の巻尺とその左側の糸を巻いた3つの糸巻きのようなものに、民芸という概念を柳が初めて与えた

 

  

 

 

 


 

 








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