やって来い 新年よ
同じ日の出なのに、初日の出は特別なものであるかのように、たくさんの人々が拝んで特別に願をかけます。
どこかに知恵者がいて1年を365日に分けて12ヶ月をつくり、季節の節々が絶妙に噛み合わさりながら繰り返されますが、今ここにまた新しい365日を両手に受け取りました。これ以上に貴い贈り物があるでしょうか。
物心がつくというのは、時間の貴さを悟り、それが私たちの命であることを知り、無益に過ごしただけの過去を悔い改め、時間を貴み価値あること生き甲斐のあることのために使うようになる瞬間のことを言うのかもしれません。
二十余年の海外生活から韓国へ帰国後、仲のよい欧米の友人たちに手紙やインターネットで近況を伝えていました。ひとりひとりの状況と個性に合わせて少しずつ異なった書き方をしていましたが、祖国の話も少しあってそれが嬉しいと、遠国の友人たちはその知らせが届くのを待ちこがれ、また送ってほしいといいます。
時間のかかることではあり、次第に工夫も生じて、手紙を兼ねて近況やら依頼原稿やらに自身の感じたことや詩的感興を合わせ、‘詩で書くカルチャーエッセイ’という新しいジャンルとなり、あれこれを一度に送るので時間のセーブにもなっています。
そのようにして‘李承信の詩で書くカルチャーエッセイ’が誕生し、国内はもちろん、何年か前日本で私の詩集が出てからは、日本のファンの皆さんや知人たちにも日本語に翻訳して送るようになりました。幸い反応もよく、日を追ってreaderも増え、それはそれで大変にもなっていますが。 ささやかな話に力を得る思いがする、なぐさめられる、その純粋さに胸がしびれる、又は絵を描く素材になるなどと、もったいないお言葉をかけてくださいます。 昨日、一年を送りながら日記を読むようにして、これまで書き送ったカルチャーエッセイを読み返しました。贈られた365日を一生懸命生きてきた記録です。 時間を縮めようとして、かえって手間ひまが何倍もかかることになりましたが、公開された心の日記であり、おかげで明るい一日を送ることができると共感してくださることに、私自身が慰められています。 新年にも皆さんの励ましをえて、“李承信の詩で書くカルチャーエッセイ”は続きます。 人生がそうであるように。
ほかほかのまま受け取った この貴い贈り物を 私はまた記録していくだろう そして 慰められるだろう やって来い 新年よ 大いなる贈り物よ
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